物販で料理本が10%オフってすごくない!?:CEDEC2018を見たよという話
ゲーム業界って数年に一度は新しいハードウェアが出るし、ソフトウェアも日進月歩で早くない? 大丈夫?
とずっと気になっていたCEDEC。今年は8/22 ~ 24の3日間の内、8/24は現地参加しました! 現地には行っていない8/22, 23についても最近は便利なものでYoutube配信があったのでめちゃくちゃ見てました。
メモとリンクまとめを兼ねて面白かった3つの講演について感想をちょこちょこ書きますね。
ちなみに、発表資料の多くはCEDEC公式がまとめてくれているのでそちらをば
トキメキとは何か ~乙女を恋へと導く新たなアプローチ~
何が凄いかというとアプローチが論理的!レポにも記載ある通り、
「いくら言葉を尽くすより,お堅い人がメガネを外したり,スーツを脱いだりする動作のほうが,本当の親密さを感じさせるのではないか」という,阿部氏の考え方のこと。これに基づき,MakeSでは「伝えたいことをセイに直接言わせるのではなく,セイの表情や動作から,秘められた気持ちを想像させる」という演出が施されている。
上辺の言葉ではない愛情をLive2Dで表現し、女性の納得感を引き出しています。
さらにこのゲームは"コンシェルジュアプリ"として作られていますが、それすらもゲームシステムの一部です。カレンダーやアラーム機能で、「キャラがプレイヤーの事を知っている」という既成事実を作り出すのです! こういうシステム自体がデザインの一部になっているゲームは美しいですね…。
また、こちらの講演で特筆すべきは発表者の阿部さんの情熱。プロジェクト立ち上げまでの経緯が長めの尺で説明されています。そもそも女性向けアプリ会社ではないところで業務の隙間で企画を練り提案。それが失敗しても社内で自分のやりたいことを説明してまわり、並行してLive2Dを学習しています。
このように論理的なゲームシステムを考えても、すぐには認められない。しかし着実な手段と執念でやりたいことを実現した、という発表は励みになります!
この1時間でゲーム実況業界の全てがわかる!?ゲーム実況の過去・現在・未来
実況の変遷を語る際に「実況者がゲームが"絶対に"上手い必要はなくなっている」「実況者自身が面白い必要もなくなっている」と発言があったのですが、最近のVTuber乱立と各々が展開するゲーム実況が一定の人気を博していることから納得できる気がします。
またゲーム実況はプレイしている姿を「見せる」エンタメですが、講演中はずっと将棋3席麻雀5席の話がよぎっていました。(UI Crunch #13 娯楽のUI - by Nintendo 動画→ https://youtu.be/eAqsI8W7_jQ )
今後もゲーム実況はエンタメとして残っていくでしょうし、e-sportsなどでプレイヤー以外でゲームを見る人が増えるならば絵的に「楽しい、美しい」ことと知らない人が見ても状況が「わかる、伝わる」ことの重要性はますます増えていくでしょうね。
またe-sportsについてもお話がありまして、今後この分野が伸びていくために①ゲーム実況を見た世代が核となる時代になること②ゲーム実況や大会の開催を意識したルールが明示されること、という2点を挙げていました。①は時間経過を待つことですが、②はその時間までに生産側が商品の映像を無断で配信等する"グレー"なゲーム実況や大会に対して白黒つける、ということです。
ブロックチェーンを使ったゲームの開発におけるポイントと注意点
こちら、今回の日程で数件あったゲームにおけるブロックチェーンの講演で、「実際にゲームを作ったらこんなことが大変だった」という内容でした。失敗を振り返る内容なので非常に得るところが大きかった。
発表者が作ったゲームはCryptNinja( https://cryptoninjagame.com )といい、ゲーム性では一番流行ってたCryptokittiesよりはゲームらしいものの単純な内容です。ですからこの講演で重要だったのは技術の話。特に気になったのはプレイヤーの各スマホをノードにしようとした話で、「ゲームの容量が200GBにもなったから諦めた」そうなんですよね。これってつまり容量が増えれば、可能性はあるということでそうなればサーバレスでユーザの端末同士で個人の資源を担保する、全く違った運営ができるゲームになりますよね。
また、開発上の課題として「ブロックチェーンのノード生成に時間語かかるため、速い反応を要求するゲームは作れなかった」とあるのですが、開発後にめちゃくちゃ速い新型のブロックチェーンが出てきたとのこと。まだまだ途上の分野なんですよ。
こんな風に新しい技術に揉まれて成長していくのもいいな、と思った次第です。
以降は上に挙げた3つ以外で気になったものを列挙します。(必要に応じて追記予定)
ゲームを作る、を抜きにしてもエンターテイメントに対する考え方を見直せるいいカンファレンスでした。また見たいな。
「どこから作ればいいんだろう?から10年」宮本 茂 任天堂株式会社
宮本さんの講演。
任天堂がスマホが流行った時にしっかり悔しがった「タッチならニンテンドーDSが先に出ていたのに!」という話は印象的ですね。また、スマホ参入をしたスーパーマリオランでは買い切り型の課金にしたお話があり、こちらはコンシューマゲームの会社らしい考えで個人的には好き。
明快で軽快なUI 『Nintendo Switch 本体機能』の制作事例
記事の中で詳しく説明されているのでそちらを 参照してほしいですが、私の感想は”ファミコンみたいにならへんの?”は真理だなぁということです。無駄なく、ゲームが始まるまでのワクワクを提供できる、見ていて楽しいUIって本当に大事ですね。
現状の私にはまだ難しすぎるのですが、非常に技術的な話。現状では出番が限られているC#を全てのコードで使おう、という試みとそのための性能的課題の分析と結果が説明されています。
美しく生命力あふれるチーム ~ 1時間から始めるアジャイル ~
1dスプリントを1hスプリントへ。さらには15mスプリントにしようというすごい試みでした。
よりよいチームになるために個々が軍隊アリのような超個体となる、という視点の持ち方がとても興味深かったです。
そしてそのための手段として「個々人で最適化していれば全体として美しくなくてもよい」などの割り切りが気持ちよかったです
意識の統合情報理論
まだまだ検証開始の段階にはいったばかりの理論ということですが、面白い!
なんといっても「意識」の定義をしっかりしているのがいい!
他の発表と比べても圧倒的に参考文献をしめしてくれて勉強になる部分が多かった発表です!
過去の発表でコントラストの発表はしたとのことですがコンテキストとコンフリクトについてがわかりやすい!
ワンランク上のゲームデザイン・レベルデザイン・UIデザインを考える 「コンテキスト」「コンフリクト」「コントラスト」デザイン
盛り上がりは「コントラスト」でつける。徐々に変えるでは変化を感じられないので落差をつける
コントラストの最大は終盤に持ってくること。
敵の数もウェーブ。普通>多い>最大ではなく普通>多い>普通>最大みたいなの(CEDEC 2016の話)
プリンセスコネクト!Re:Dive 制作事例 ~UIを高速かつ高品質に作るためのプロトタイプ開発のススメ!~
「プリコネはアニメRPG」「周回ゲームである」という割り切りが鍵。